今日は「棕櫚の主日」。イエスさまがエルサレムに入城された日です。この記事は4つの福音書すべてに記載されています。

 入城の前にイエスさまが二人の弟子を遣わしてベトファゲの村からロバを引いて来させたことは共観福音書が伝えていますが、マタイにはロバは母ロバと子ロバだったとあり、マルコとルカは子ロバを連れて来たと記しています。ヨハネに至ってはイエスさまがご自分で子ロバを見つけて誰に断るでもなくさっさとお乗りになったように読めて笑えます。ここでは母ロバであれ子ロバであれ馬ではなくロバであることがポイントです。

 またマタイ、マルコ、ヨハネは、自分の服を道に敷いたり葉のついた木の枝やなつめやしの葉を切って来てロバに乗ったイエスさまを熱狂的に迎えたのが群衆であったことを明記していますがルカは違います。彼の記述では大騒ぎしているのはイエスさまの弟子たちだけ。そして群衆は遠巻きにこの一行を冷ややかに眺めている…そんな体の文になっています。おそらく群衆が熱狂的に迎えた、というのが史実だったのでしょう。

 ルカはこの場面に書き加えたい言葉がありました。それを書くには先ずファリサイ派の人々に、弟子たちについての小言を言わせる必要がありました。そのために弟子たちだけが熱狂し大騒ぎをする必要があったのです。彼は何を書きたかったのか。それは、言っておくが、もしこの人たちが黙れば、石が叫び出す(19:40)。というイエスさまの言葉でした。すごい脚色ですが、思わずなるほど!と唸ってしまいます。